犬の飼育に必要な予防と手続き
まずは市区町村に畜犬登録をしなくてはなりません。
そして、病気を未然に防ぐためにも予防接種(ワクチン)と寄生虫の予防や駆除をして、適切な健康管理をしましょう。
予防接種には、混合ワクチンと単体ワクチン、そして狂犬病予防ワクチンの種類があります。
狂犬病ワクチンについては、法律で義務付けられているので、生後90日までに必ず受けましょう。
この狂犬病ワクチンと畜犬登録は、動物病院でワクチン接種と同時に済ませることができます。
畜犬登録が済んでいると、地元の行政からハガキでお知らせが毎年4月頃に届き、集団接種の日時と複数の実施場所が書いてあります。
集団接種ができない場合には、動物病院で接種を済ませてください。
狂犬病ワクチン後にアナフィラキシー反応などの体調不良が出た場合には、次年度に免除ができるので、動物病院にて診断と手続きをしてください。
混合ワクチンも必須です。犬ジステンパー、犬伝染性肝炎、犬アデノウイルス2型感染症、犬パラインフルエンザ感染症(ケンネルコフ)、犬パルボウイルス感染症、この5種混合ワクチンを接種するのがベストだと思います。
6種混合ワクチンからは、犬コロナウイルス感染症、犬レプトスピラ病(カニコーラ型)、犬レプトスピラ病(コペンハーゲン型)、犬レプトスピラ病(ヘブドマディス型)を追加した6種混合ワクチンから9種混合ワクチンもありますが、極小犬のチワワには体への負担が大きいようで、接種後に体調不良になる子が多いため、5種混合ワクチンまでにとどめておくのが良いです。
犬感染症ごとの解説 ワクチンの必要性
犬の命を守るために!狂犬病・犬ジステンパー・犬伝染性肝炎の症状と予防方法
犬の健康を守るために、飼い主が知っておくべき感染症とその予防方法を詳しくご紹介します。これらの感染症はどれも致死率が高く、早期予防と対応が必要です。しっかりと理解して愛犬を守りましょう!
狂犬病とは?致死率100%の恐ろしい病気
狂犬病は、発症するとほぼ確実に命を奪う、非常に危険なウイルス性の病気です。感染した動物の唾液を介して広がり、人を含めたすべての哺乳類に感染します。
- 感染経路:狂犬病にかかった動物に噛まれることでウイルスが体内に侵入します。
- 症状:発病すると情緒不安定、食欲不振、麻痺、よだれの増加、興奮状態が続き、数日間の症状の後に死亡します。人も同様に、恐水症などの苦痛な症状を引き起こします。
**日本では昭和34年以降、国内での発生は確認されていませんが、海外ではまだ多くの感染例があります。**そのため、日本国内では狂犬病予防法により、犬の登録と年1回のワクチン接種が義務付けられています。
- 予防策:狂犬病が流行している地域に旅行する際は、事前にワクチン接種をすることを強く推奨します。世界では年間約55,000人が狂犬病で亡くなっていると報告されています。
犬ジステンパー:特に子犬に危険な感染症
犬ジステンパーは、高熱やくしゃみ、鼻水、神経症状を伴うウイルス性の病気で、特に子犬にとって致死率が高いです。
- 原因:犬ジステンパーウイルスが、空気感染や飛沫感染によって広がります。
- 症状:感染から4〜5日後に発熱、食欲不振が現れ、重症の場合は肺炎や下痢、脱水症状を引き起こします。神経系に症状が進行することもあり、震えや痙攣が見られることもあります。
特にワクチン接種を受けていない子犬は重症化しやすいため、早期の予防が不可欠です。
- 予防策:ワクチン接種が非常に有効です。通常、8〜16週齢の間に3回のワクチン接種を行うことが推奨されています。
犬伝染性肝炎:突然死の危険性がある病気
犬伝染性肝炎は、犬アデノウイルス1型によって引き起こされ、重症化すると突然死のリスクもある感染症です。
- 感染経路:汚染された食器や尿、唾液、汚れたものを口にすることで感染します。ウイルスは非常に伝染力が強く、感染した犬から長期間にわたり尿中に排出されるため、注意が必要です。
- 症状:感染後、数日間の潜伏期間を経て高熱、元気喪失、嘔吐、下痢が現れ、場合によっては白目が濁ることもあります。重症の場合、肝炎や神経症状が見られ、死亡率が高いです。
診断には血液検査やウイルス検査が行われ、迅速な対応が求められます。
- 予防策:ワクチン接種が最も効果的な予防手段です。定期的にワクチンを接種し、犬を守りましょう。
これらの感染症はどれも致命的で、愛犬の命を守るためにはワクチン接種が非常に重要です。特に子犬や免疫力が弱い犬には、定期的な予防と健康管理を徹底しましょう。
犬パルボウイルス感染症
定義・概要
犬パルボウイルス感染症は、非常に重篤なウイルス性腸炎を引き起こす病気で、特に若い犬にとって命に関わる感染症です。心筋炎を引き起こすこともあり、緊急性の高い疾患です。
原因
原因は犬パルボウイルスで、このウイルスは非常に強力な耐性を持ち、衣類や床、台所用品などの環境であっても、最大5ヶ月以上も感染力を保つことが報告されています。洗剤や一般的な消毒液では除去が難しく、次亜塩素酸ナトリウムが有効とされています。
感染経路
犬パルボウイルスは、感染犬の糞便から経口で伝染します。扁桃腺のリンパ節で増殖した後、腸や他のリンパ節に広がります。感染後3~5日でウイルス血症が発生し、その後症状が現れます。
主な症状
犬パルボウイルスには2つの主な型があります:
- 腸炎型:主に離乳期以降の犬に見られ、腸が侵されて嘔吐や下痢を引き起こします。特に12週齢未満の子犬では非常に重篤な症状を呈します。
- 心筋炎型:生後3~9週の子犬に多く見られ、心筋に影響を与える感染型です。
診断方法
血液検査や糞便中のパルボウイルス抗原の検出によって診断が行われます。急性の下痢を示す若い犬は、ELISAなどのウイルス検査が推奨されます。迅速な診断が可能な検査キットもあり、早期の対応が重要です。
治療法
感染が確認された場合、入院による集中治療が必要です。支持療法を行い、適切に管理すれば生存率は向上します。腸炎型の場合、症状発生後7日以内に治療が進められ、敗血症などの合併症がなければ予後は良好です。
予防法
最も効果的な予防法はワクチン接種です。定期的なワクチン接種が、犬をパルボウイルスから守るために不可欠です。
犬伝染性喉頭気管支炎(ケンネルコフ):症状と予防法
定義・概要
犬伝染性喉頭気管支炎、通称「ケンネルコフ」は、犬同士が集まる場所で感染しやすい呼吸器の病気です。頑固でしつこい咳を特徴とし、広範囲に広がる可能性があります。
原因
ケンネルコフの原因は、犬パラインフルエンザウイルスや犬アデノウイルス2型が主なものです。また、他にも数種類のウイルスや細菌(マイコプラズマ、ボルデテラなど)が関与しています。
主な症状
ケンネルコフに感染すると、犬は短い乾いた咳をし、咳の後には泡状の粘液を吐き出すことがあります。これに加えて、くしゃみや鼻水などの症状も見られます。元気や食欲が維持されることが多いですが、症状が進行すると発熱や膿性鼻汁が現れます。特に幼犬や老犬は、肺炎へ進行するリスクが高いので注意が必要です。
診断方法
臨床症状や身体的な所見をもとに総合的に診断が行われます。病原体の特定にはウイルスや細菌の検査が有効です。
治療法
治療には、抗生物質や気管支拡張薬の使用が効果的です。ネブライザーを用いた喉への噴霧治療も有効で、幼犬や老犬は特に肺への転移を防ぐため、早期治療が重要です。
予防法
ケンネルコフの予防にはワクチン接種が効果的です。6~16週齢の子犬に対して2~3回のワクチン接種が推奨されており、以後も毎年の追加接種を忘れずに行いましょう。また、感染リスクを避けるために、犬が多く集まる場所を避けることも大切です。
まとめ
ワクチン接種は飼い主の責任:過去の経験から学んだ教訓
今では、多くの飼い主さんがワクチン接種の重要性を理解し、当たり前のように接種を行っています。しかし、私が学生だった頃は、野良犬が多く、家庭犬であっても外飼いや放し飼いが一般的でした。
当時、私も知人から譲り受けた犬を飼っていましたが、その犬はワクチンを接種しておらず、放し飼いで野良犬と遊ぶことが日常でした。無知だった私は、犬が友達と遊んでいるようにしか思わず、危険性に気付いていなかったのです。しかし、数ヶ月後、その犬は言葉にできないほど苦しい症状を発症し、最終的には安楽死を選ぶしかありませんでした。今でもその時のことを鮮明に覚えています。
このような悲劇を防ぐためにも、ワクチン接種は必ず行いましょう。予防できる病気は確実に防ぎ、愛犬を守ることが飼い主としての最低限の責任です。健康で楽しい毎日を、愛犬と一緒に過ごすために、ワクチン接種を怠らないようにしましょう。
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