自宅で愛犬をシャンプーするメリットとコツ!皮膚の健康チェックで早期発見を
自宅での愛犬のシャンプーは、最初こそ難しく感じるかもしれませんが、少しずつ慣れていくことで大切なスキンシップの時間になります。また、シャンプーを通して愛犬の皮膚や被毛の状態を定期的にチェックできるため、早期に異常を発見しやすくなるというメリットもあります。
犬の皮膚疾患は非常に多い健康問題のひとつですが、定期的なシャンプーはその予防や改善に効果的とされています。シャンプーのたびに皮膚の状態を確認することで、かゆみや赤み、フケなどの症状を早く発見でき、病気の早期対策にもつながります。
また、正しいシャンプー方法を学びながら少しずつ実践することで、飼い主としてのケアスキルも上達していきます。シャンプーに慣れれば、愛犬の清潔と健康管理が自宅で効率的にできるようになります。
最初は焦らず、愛犬のペースに合わせながらゆっくりシャンプーに挑戦してみましょう。愛犬がリラックスできるように、優しく声をかけながら行うとより効果的です。
皮膚はバリア機能を備えている
汚れやすいけどデリケートな犬の皮膚
犬の皮膚は人間と同じく「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造をしていますが、その厚さはわずか人の半分ほど。とても繊細で、特別なケアが必要です。さらに、犬は全身が毛で覆われているため、通気性が悪くなりがちで、蒸れやすい環境が皮膚に負担をかけ、細菌が繁殖しやすくなります。
犬の毛穴は、皮脂腺とアポクリン汗腺がつながっており、汗と皮脂が混ざり合うことで汚れが溜まりやすい構造です。このため、シャンプーの際に力を入れすぎると、薄い皮膚にダメージを与え、外部からの刺激や水分の蒸発を防ぐバリア機能を壊してしまうことも。
だからこそ、やさしく丁寧にシャンプーしてあげることが大切です。愛犬の繊細な肌を守り、健康を保つためにも、正しい方法でケアをして、清潔で快適な日常を一緒に楽しみましょう。
被毛の種類や役割の違いによって必要なケアが異なります
家庭でのシャンプーは、愛犬のストレスや負担を最小限に抑えることが大切です。ブラッシングは多くの犬が喜ぶ一方で、シャンプーは本当に苦手な犬が多いです。
バスタブがあれば便利ですが、必須ではありません。衣装ケースなどの代用品でも、愛犬をしっかりと支えつつ、動き回ることができないので便利です。
多くの飼い主が家庭でのシャンプーをお風呂場で行いますが、特に寒い季節には浴室の温度に注意が必要です。シャワーで浴室全体を温めておくと良いでしょう。
お湯の温度にも気を配り、夏は約36度、冬は約38度が理想的です。愛犬のストレスを軽減するためにも、シャンプーとすすぎは10分程度で終えるよう心がけましょう。これにより、愛犬が快適に過ごせる時間を確保し、シャンプーの負担を減らすことができます。
シャンプーは3週間に一度くらいのペースで
犬の健康と清潔を保つためにシャンプーは必要ですが、毎日行う必要はありません。シャンプーが苦手な犬にとっては大きなストレスとなり、体力も消耗してしまうことがあります。さらに、シャンプーのし過ぎは皮膚のバランスを保つために必要な常在菌まで洗い流してしまい、かえって皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。
シャンプーの適切なタイミングは、抜け毛が増えたり、毛がべたついてきたり、ニオイやフケが気になり始めたときで十分です。健康な犬なら、通常は3週間に1度程度で問題ありません。ただし、長毛種や大型犬の場合、家庭でのシャンプーが難しいこともあります。そのような場合、ドライシャンプーやブラッシングで日々のケアをし、必要に応じてトリミングサロンに任せるのが良いでしょう。
犬の体質や毛質に合わせた適切なケアが、愛犬の健康と快適さを保つ鍵です。
シャンプー前の心得とブラッシング
負担を掛けない無理をさせないことが何よりも優先で重要
シャンプーやドライングは犬にとって大きな負担となり、体力もかなり消耗します。そのため、必ず犬の体調が万全であることを確認してから始めることが大切です。元気がないときやワクチンを接種したばかりのときは、数日間様子を見てから行いましょう。
人のシャンプーとは違い、犬にとってはかなりのストレスになることが多く、途中で体調に変化があればすぐに中止するべきです。実際、シャンプーが好きな犬はほとんどいないと言われており、無理強いをせずに少しずつ慣らしていくことがポイントです。一度でも嫌な思いをすると、次からのシャンプーがさらに難しくなることもあります。
子犬の頃からグルーミングやシャンプーに慣れさせることは非常に重要です。しかし、どうしても嫌がる場合は、無理をせずにトリミングサロンにお任せすることも検討しましょう。愛犬の負担を最小限にしながら清潔を保つことが大切です。
シャンプーの前には必ずブラッシングをしましょう
日頃からブラッシングを行っている飼い主さんは多いと思いますが、注意が必要です。もし内側の毛がもつれたままや、抜けた毛(死に毛)が残ったままでシャンプーをしてしまうと、毛が固まってしまい、プロのトリマーでも手に負えなくなることがあります。このような状態では、犬も痛みや不快感を感じてしまうでしょう。
シャンプーの前には、必ず毛の根元から丁寧にブラッシングを行いましょう。犬が痛がらないように優しく、しっかりと毛をとかすことが大切です。もし毛玉ができている場合は、スリッカーブラシなどを使って少しずつほぐし、ブラシがスムーズに通る状態になってからシャンプーを行うようにしてください。これにより、愛犬の快適さを保ちながら、トラブルを未然に防ぐことができます。
換毛期は丁寧にブラッシングをすることでシャンプーが楽になる
ダブルコートの犬は、春から夏にかけての換毛期に特に注意が必要です。この時期には、ブラッシングでできるだけ抜け毛を除去してからシャンプーを行いましょう。そうしないと、毛がもつれるだけでなく、乾かす際にも時間がかかってしまいます。
多くの方が経験したことがあると思いますが、死に毛をそのままにしてシャンプーすると、本当に手がかかります。私のところにはロングコートチワワがいますが、それでも大変でした。もっと毛の長い犬種だと、プロのトリマーでも手をこまねく事態になるかもしれません。最悪の場合、バリカンで丸刈りにするしかないことも。
ブラッシングを通じて不要なアンダーコートを除去し、オーバーコートのボリューム感が落ちることで、すっきりとした印象になります。現在、室内飼いの犬が増えたことで、寒暖差が少なくなり、換毛期がはっきりしない犬も多く見られます。年中毛が抜け続けることもあるため、毎日のブラッシングが欠かせません。
犬は自分で掻けない部分が多く、全身をブラッシングされると気持ちよく感じて喜んでくれます。愛犬の健康と快適な生活のために、ぜひ日々のケアを大切にしましょう。
犬はシャンプーが嫌い
犬種や性格による個体差があるものの、犬は一般的にシャンプーを嫌がります。特に水に濡れることが苦手な犬が多いです。ゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバーのような水辺で活動する犬種は、比較的水に抵抗が少ないですが、日本犬の柴犬などは体温を下げないために水を避ける傾向があります。
ただし、すべての犬に当てはまるわけではなく、個体差が存在します。過去の不快な体験が影響している場合もあります。たとえば、浴室に閉じ込められた経験や、突然頭からシャワーをかけられたことで、鼻や目に水が入って苦しい思いをしたことがあるかもしれません。また、お湯が熱すぎたり冷たすぎたり、浴室の音が怖かったりと、様々な要因が考えられます。
飼い主は「このくらい大丈夫」と思いがちですが、愛犬にとっては意外にストレスになることも。水が嫌いになる理由があることを理解し、優しく丁寧に扱って、怖い経験をさせないようにしましょう。こうした配慮が、愛犬との信頼関係を深めることにもつながります。
手早く・時間を掛けず
愛犬用のバスタブを用意しシャンプーからすすぎまで短時間で終えるように
家庭でのシャンプーは、愛犬のストレスや負担を最小限に抑えることが大切です。ブラッシングは多くの犬が喜ぶ一方で、シャンプーは本当に苦手な犬が多いです。
バスタブがあれば便利ですが、必須ではありません。衣装ケースなどの代用品でも、愛犬をしっかりと支えつつ、動き回ることができないので便利です。
多くの飼い主が家庭でのシャンプーをお風呂場で行いますが、特に寒い季節には浴室の温度に注意が必要です。シャワーで浴室全体を温めておくと良いでしょう。
お湯の温度にも気を配り、夏は約36度、冬は約38度が理想的です。愛犬のストレスを軽減するためにも、シャンプーとすすぎは10分程度で終えるよう心がけましょう。これにより、愛犬が快適に過ごせる時間を確保し、シャンプーの負担を減らすことができます。
洗いはほどほどに、すすぎは入念に
汚れをしっかり落とすことは重要ですが、すすぎも念入りに行いましょう。すすぎ残しがあると、皮膚炎を引き起こしやすくなりますので、シャンプー以上に丁寧にすすぐことが大切です。
部分的にシャワーヘッドを外して洗い流すのも効果的です。顔を洗う際は、犬が嫌がることがあるため、優しく行い、目や鼻に水が入らないように気を付けてください。一度嫌な経験をさせてしまうと、次回以降が難しくなります。
仕上げにはお好みのリンスやトリートメントを使い、バスタブの中に薄めて全身に何度もかけ流すと、効果が高まります。
泡立てたシャンプー液の中に犬を入れて洗うと洗いやすく楽です
犬のシャンプー方法:優しく、負担をかけずに綺麗にするポイント
犬のデリケートな皮膚に負担をかけないために、シャンプーをする際には「泡立て方」や「洗い方」に気をつけることが大切です。以下の方法で、愛犬のシャンプータイムを快適でストレスの少ないものにしましょう。
- シャンプー液はバスタブで泡立てる
犬の体の上で直接泡を立てるのではなく、バスタブにぬるま湯を入れ、シャンプー液を加えて泡立てます。シャワーでよくかき混ぜて、たっぷりの泡を作りましょう。 - 泡をすくって優しく馴染ませる
できあがった泡を手ですくい、優しく犬の体にかけながら、手のひら全体を使ってマッサージするように洗っていきます。この方法なら、犬の皮膚に余計な負担をかけず、しっかりと汚れを落とせます。 - 洗い残しに注意する部位
特に、お尻まわり、指の間、脇の下、お腹などは汚れが溜まりやすいので、丁寧に洗うよう心がけましょう。汚れが落ちてくると、キュッキュッとした独特の感触が手に伝わるので、確認しながら進めると良いです。 - 顔は特に慎重に洗う
顔まわりもきちんと洗うことが大切ですが、目や鼻にシャンプーが入らないように十分注意が必要です。まずは濡れタオルやスポンジで軽く拭くことから始めると、安全にケアできます。
しっかりと乾かすための ドライング
タオルで優しく押えながら水分を吸い込ませます
全身の被毛を乾かすのは時間がかかる作業ですが、適切に行うことで皮膚トラブルの予防に繋がります。湿気が残ってしまうと、皮膚が蒸れやすくなり、かゆみや炎症を引き起こす原因となるため、ドライヤーの時間を短縮するためにも、まずは丁寧なタオルドライを心がけましょう。
ゴシゴシと強く拭くのは厳禁です。被毛が絡まり、毛玉ができてしまう恐れがありますので、タオルを押し当てて水分を吸い取るようにしましょう。被毛が濡れて束になっている部分も、タオルドライでパラパラになるまで水分を取り除くのが理想的です。
効果的に水分を取り除くコツは、毛並みに逆らって拭くことです。特に足元やお腹周りは水分が残りやすい部分ですので、しっかりと丁寧に拭き取りましょう。
毛の根元までしっかり乾かすことが大切です
ドライヤーを使う前に毛並みを整えると、風が毛の中に入りやすくなり、乾かす時間を短縮できます。ただ、犬はドライヤーの音を嫌がる子も多いです。その場合、部屋の隅を利用し、壁を背にして逃げられないようにしながらドライヤーをかける方法があります。
家庭用ドライヤーを使用する際は、温風の温度が高いため、やけどや目の乾燥に注意が必要です。顔に風が当たると目が乾燥しやすいので、特に気をつけてください。
また、ドライヤースタンドを使えば両手が自由に使えるため、非常に便利です。さらに、ドライルームを使うと、時短だけでなく、犬と飼い主の負担を軽減できるため、非常に実用的です。
ドライヤーを使うときに気をつけること
ドライヤーの前に毛並みを整えておくと、風が毛の中に入りやすくなって乾く時間の短縮になります。
犬はドライヤーの音が苦手な子が多いです。
そんなときのは部屋の隅に持って行き、壁を利用して逃げることができない状態にしてドライングをします。
家庭用のドライヤーの場合には温度が高く、熱風なので火傷や顔に当てていて目が乾燥してしまうことがないように気をつけてください。
ドライヤースタンドがあると両手が使えて便利です。
また、ドライルームを使うのも時短にもなるし犬と飼い主への負担軽減ができてとても便利です。
皮膚のバリア機能と皮膚疾患
犬の疾患の中でも一番多いのが皮膚疾患といわれています。
生活習慣を見直して皮膚のバリア機能を維持して快適な愛犬ライフをしましょう。
- ポイント1 栄養バランスのよい食事
- 健康な皮膚を作っているのは毎日の食事です、栄養バランスの良い食事を摂るようにし、皮脂がきちんと分泌され、皮膚のバリア機能が維持されます。食事を見直した途端に皮膚の状態が改善し良くなることも多いです。
- ポイント2 血行をよくする
- ブラッシングやマッサージで血行を良くすることで栄養が皮膚細胞に行き渡り健康な皮膚を作られます。
- ポイント3 皮膚を乾燥させない
- 皮脂が十分に分泌されていなかったり、シャンプーで洗い過ぎたりすると、皮膚の水分が蒸発して乾燥してしまいます。特に冬場は空気も乾燥しているため注意がひつようです。室内の湿度も50%前後に保つとよいでしょう。保湿性の高いリンス、コンディショナーを使うこともよいでしょう。
- ポイント4 静電気にも注意
- 皮膚のバリア機能は摩擦でも壊れてしまいます。歩くときや服を着せているときにも、また首輪や胴輪で擦れて静電気が起きたりするので気をつけてください。体を掻いている場合には乾燥から痒みが出ているのかもしれません。
- ポイント5 ノミ・ダニを防ぐ
- 散歩に出かけるとノミ・ダニが付くことがあります。駆除薬を使ったり服を着せたりして、草むらには近づけないようにする、帰宅したらブラッシングを兼ねてチェックする習慣をつけるとよいでしょう。
犬に多い皮膚のトラブルと症状
毛包中 | 毛包中が犬の毛包や皮脂腺に寄生して炎症を引き起こす、発症には免疫低下が関わっています。 |
クッシング症候群 | コルチゾールというホルモンが過剰に分泌される病気で、進行すると免疫が低下して、脱毛や皮膚が薄くなる、皮膚の石灰化などの症状がでます。 |
甲状腺機能低下症 | 甲状腺ホルモンの分泌が少なくなることで起きる病気です、脱毛や膿皮症にかかりやすくなります。 |
ノミ・ダニによる皮膚炎 | またノミ・ダニのアレルギーが関連していることも多いです。 | 種類が様々で、全身症状がでることもあり発疹や脱毛、強い痒み、フケ、ただれなどの症状がでます。
マダニ症 | マダニが媒介して重大な感染症を発症し、人にも被害が及ぶことがあります。 | マダニに噛まれることで、皮膚炎のほか貧血や栄養障害が起きることがあります。
SFTS(重症熱血小板減少症候群) | 人が発症した場合、死亡することもあります。 | SFTSウイルスを保有しているマダニに噛まれることによって感染する人畜共通感染症(ズーノーシス)で、発熱、嘔吐、下痢などの消化器症状、筋肉痛などの症状がでます。
膿皮症 | 赤くぶつぶつした発疹や水疱、脱毛、フケ、かゆみなどの症状がでます。 | 免疫力の低下やバリア機能の低下により、ブドウ球菌などの常在菌が増殖する皮膚炎です。
脂漏症(マラセチア性皮膚炎) | マラセチア菌は脂質を好み皮脂分泌の多い犬に発生します。 アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、脂漏症などの病気が原因で起こることがあります。 | マラセチア菌は酵母の一種で常在菌のひとつですが、皮膚表面で異常増殖すると強い痒み赤み、べたつき、ニオイなどの症状がでます。
アトピー性皮膚炎 | 全身に強いかゆみがでます。 | 皮膚のバリア機能の低下によって発症し、アレルギーの原因物質が体内に入ると引き起こします。
食物アレルギー | 特定の食材や成分を摂取することで、かゆみなどの皮膚症状や下痢、嘔吐などの消化器症状がでます。 |
まとめ
現代の犬たちは、かつてのような外での生活から一変し、多くが家の中で飼い主とともに過ごしています。そのため、清潔な環境を保つことが非常に重要です。特に同じ家で過ごす場合、衛生面に気をつけることは犬の健康だけでなく、飼い主の生活にも大きな影響を与えます。
また、清潔さは皮膚の健康にも直結します。愛犬の体に頻繁に触れることで、湿疹やノミ・ダニの寄生跡、その他の異変に気付くことができ、早期の対応が可能になります。これにより、犬の健康を守りつつ、飼い主との信頼関係もより強固なものとなります。
シャンプーやグルーミングは、犬にとって快適なだけでなく、健康維持にも役立つ素晴らしい方法です。飼い主として、正しい知識を持ち、家庭でのケアをしっかり行うことが大切です。
特に日本のような高温多湿な気候では、皮膚病のリスクが高まるため、定期的なケアが欠かせません。愛情を込めて、定期的にシャンプーとグルーミングを行い、愛犬の健康を保っていきましょう。
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良い愛犬ライフを。
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