近年の日本では、全国各地で自然災害が相次ぎ、「ここなら安心」という場所がほとんどないのが現実です。
私自身、4年前に水害に見舞われ、川の氾濫によって愛車が水没するという苦い経験をしました。
こうした災害は、いつどこで起きても不思議ではありません。だからこそ、自分自身と愛犬を守るための備えが、飼い主には強く求められます。
災害時には、飼い主の不安が愛犬にも伝わってしまうため、冷静に行動し、愛犬に安心感を与えることが何より大切です。
では、もしもの時、あなたはすぐに行動できるでしょうか？
- 緊急時に避難すべき場所はどこか
- その避難所にペットを連れて行けるか
これらの情報を事前に正しく把握しておくことが、愛犬の命を守る確かな第一歩になります。
この記事では、いざという時に慌てないための具体的な準備と心構えについて、わかりやすく解説していきます。
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自然災害が多い日本
日頃の備えが、愛犬の命を守る
日頃から災害対策を万全にしている方は、実は多くありません。
しかし近年、日本各地で「経験したことのないような豪雨」や「恐怖を感じるレベルの降雨」が頻発しています。もはや、災害は特別なものではなく、いつ、どこで、誰に起きてもおかしくない日常のリスクとなっています。
そのため、災害グッズの準備はもちろん、避難場所とそこまでの経路を普段から把握しておくことが絶対に必要です。
特に、愛犬と一緒に安全に避難するためには、飼い主の冷静な判断と事前の備えが不可欠です。
愛犬自身が自分を守ることはできません。守れるのは、飼い主である私たちだけです。
また、すでに対策をしているという方も、今一度「最新の情報」で見直すことを強くおすすめします。
なぜなら、10年、20年前に作られたハザードマップは、現在の状況に適していないことがあるからです。
実際、私が体験した4年前の豪雨では、ハザードマップ上では安全とされていたエリアが冠水し、川を越えないと避難できないという非常事態が発生しました。
「何のための避難なのか…」と痛感せざるを得ない状況だったのです。
こうした事態を防ぐためにも、古い情報を鵜呑みにせず、常に最新の防災情報をチェックしておくことが重要です。
避難ルート、避難場所、そして災害時の行動計画を普段から確認しておけば、不測の事態にも落ち着いて行動できるでしょう。
大切な愛犬の命を守れるのは、他でもない、飼い主であるあなたです。
飼い主は自覚を持つことが重要
犬は何歳になっても、私たちにとってはまるで子どものような存在です。実際、犬の精神年齢は人間の3歳程度に相当するといわれています。
私たちが犬にしつけを行うのは、将来自立させるためではありません。犬と人間が共に安心して快適に暮らすために必要な、大切なコミュニケーション手段なのです。
人間と違い、犬は一生涯、飼い主のサポートと愛情を必要とします。家族の一員として寄り添い続ける存在それが犬と暮らすということの本質です。
災害という非日常が突然襲ったとき、愛犬を置いて避難するなど、多くの飼い主にとっては到底考えられないことでしょう。
だからこそ、平常時から信頼関係と基本的なしつけをしっかり築いておくことが、いざという時に命を守る力になります。
同行避難をスムーズに行うためには、普段からの備えが不可欠です。愛犬用の避難グッズを準備し、避難ルートを確認しておくこと。これこそが、愛犬を守り抜くための「責任ある飼い主の行動」だと言えるでしょう。
災害時に愛犬がケガや病気になってしまったときに、冷静に対処することができ愛犬を守ることできる飼い主
災害時、本当に「備え」は万全ですか？ 愛犬を守るために今すべきこと
災害対策として物資を備蓄し、準備をしているつもりでも、いざ災害が発生すると焦りや混乱から、思うように動けないことがあります。例えば、非常持ち出し袋の置き場所を忘れてしまったり、いざ取り出そうとしても周囲の物が邪魔をして取り出せなかったりするケースは珍しくありません。
さらに深刻なのは、飼い主自身が負傷して愛犬のケアができなくなるリスクです。愛犬もまた、地震で飛び散ったガラス片でケガを負ったり、骨折したりする危険性があります。加えて、地元の動物病院が被災して機能していない場合、すぐに治療を受けることができない可能性もあるのです。
だからこそ、想定外を想定することが重要です。
単なる物資の準備だけでなく、複数の対応策をシミュレーションし、いざという時に柔軟に対応できる体制を整えておくことが、愛犬を守る鍵になります。
また、無事に避難できた後も安心はできません。避難所生活は、愛犬にとって想像以上に過酷な環境です。周囲には見知らぬ人が多く、常に人の話し声や雑音が響き渡る中で過ごさなければならず、大きなストレスとなるでしょう。加えて、犬が苦手な人が周囲にいる場合、愛犬には「静かにしていなければ」という大きなプレッシャーがかかります。
犬はストレスや痛みを感じても、それを表に出さない習性があります。おとなしくしているからといって「問題ない」と安心するのではなく、心身に負担がかかっていないか細かく観察し、必要に応じて獣医師に相談することが大切です。
災害時に本当に愛犬を守るためには、「今できる備え」と「心構え」の両方が不可欠です。愛犬の命と心を守るために、今日から一歩踏み出しましょう。
健康診断のデータや薬手帳のようなものを持っていると、いざというとき安心できます。
災害が起きたとき、ケガや病気の治療が必要になっても、いつもの動物病院にすぐ駆け込めるとは限りません。そんな緊急時に備えて、愛犬の医療データをあらかじめ記録・保存しておくことは、非常に重要です。
特に、持病のある犬にとっては、初めて訪れる病院でも正確な情報を伝えられることで、より適切な治療が受けられる安心材料となります。
さらに、持病がない場合でも、高齢犬を飼っている方には、定期的な健康診断の結果をスマートフォンなどに保存しておくことを強くおすすめします。年齢とともに健康リスクは高まるため、万一の際にすぐ提示できるデータが命を救うことにもつながります。
非常時こそ、飼い主の冷静な判断と準備が、愛犬を心身の不安から守る力になります。
愛犬の「もしも」に備え、今できるサポートを惜しまず、愛情と責任を持って守っていきましょう。
避難所のペットの受け入れ態勢を知っておく
災害時、愛犬と避難所に行くために必要な心構えとは？
災害時、自宅での待機が難しい場合、避難所への避難が必要になることがあります。現在、日本では「ペットとの同行避難」が原則とされています。しかし、実際には受け入れ体制が十分に整っていない避難所も多く、愛犬家にとっては大きな不安要素となっています。
さらに、コロナ禍の影響で、避難所の運営は密集回避や感染症対策に追われ、ペットにまで十分な対応が行き届かないケースが少なくありません。そのため、事前に「ペット受け入れ可否」や「ルール」を確認しておくことが非常に重要です。
また、たとえ同行避難が叶ったとしても、避難所には動物が苦手な方や、動物アレルギーを持つ方がいる可能性があります。こうした状況を踏まえ、飼い主には高い配慮と責任が求められます。
たとえば、
- 排泄場所を適切に管理する
- 吠え声をコントロールする
- 犬の行動をしっかり見守る といった基本的なマナーを守ることが不可欠です。
これらが守られなければ、もともとペット同行に理解があった人たちの意見が変わり、結果的にペット避難への風当たりが強まってしまうリスクもあるのです。
避難所は、多くの人が共同生活を送る場所。
愛犬を守るためにも、常に清潔を保ち、周囲への配慮を忘れない姿勢が、飼い主としての責任といえるでしょう。
いざというときに役立つ応急処置
愛犬がぐったりしている！ケガをしてしまった！ 打撲や脱水症状がないかよく観察しましょう
災害時に起こり得る愛犬の異変に、いち早く気づくために
災害が発生すると、私たちが想像もしなかったようなトラブルが次々と起こります。混乱のなかで気づいたときには、愛犬がぐったりしていたり、足を引きずるようなケガをしているかもしれません。
特に外傷が見当たらないにもかかわらず愛犬が元気を失っている場合は、打撲や内臓損傷など目に見えない重篤なダメージを負っている可能性があります。
このため、被毛を丁寧にかき分けながら、あざや腫れ、骨折、捻挫がないかをしっかり確認しましょう。ガラス片や木片による小さな傷も見落としがちなので、全身をくまなくチェックすることが重要です。
さらに、脱水症状にも注意が必要です。
災害時は単なる暑さだけでなく、ショック状態、パンティング（荒い呼吸）、下痢や嘔吐によっても急速に脱水が進行します。
次のポイントを重点的に観察してください。
- 尿量：極端に少ない場合は脱水のサイン。逆に、水分摂取が少ないのに尿が薄い場合、腎機能障害の疑いもあります。
- 尿の色：血尿が見られる場合は、腹部臓器の損傷を示唆します。
- 目や口の中の色：血色が悪い、白っぽい、または黄疸が見られる場合は、内臓機能に異常が生じている可能性があります。
このようなチェックを怠らず、小さな変化にも敏感に反応することが、愛犬の命を守るカギとなります。
「異常かも」と思ったら、ためらわずに獣医師に相談してください。
愛犬の命を守るのは、誰でもない、あなた自身です。
応急手当にために、準備しておくもの
★ タオル・バスタオル
★ ペットシーツ （水を含ませると即席の保冷材になります）
★ 保冷剤・冷却材
★ 犬用経口補水液
★ ラップ・ビニール袋
★ 包帯・体温計（犬用）
★ ドライシャンプー・ウエットティッシュ
★ ガムテープ
★ 薬（整腸剤・プロバイオティクス・精神を安定させるサプリメントなど）
愛犬が元気がないときは脱水症の可能性があります。
背中や腰の皮膚をつまんで離して元に戻るまでに２秒以上かかるとき、歯茎や口が乾いている。
尿が少なく色が濃い。
このようなときには犬用経口補水液を飲ませましょう。
愛犬の呼吸と心臓の鼓動が止まっている場合には１５分以内に心臓マッサージと人工呼吸を行うと蘇生できる可能性が高まります。
口を開け、舌を引き出し片方によけて気道を確保します。
口を閉じて鼻先を咥え等間隔で息を吹き込みます。
心臓マッサージは１分間に３０回のリズムで胸部を圧迫します。
３０回胸部圧迫をしたら、犬の気道を確保して口を閉じて息を吹き込みます。
３０回の気胸部圧迫をしたのち２回の人工呼吸を繰り返します。
夏場に被災した場合には、熱中症に気を付けなくてはなりません。
避難場所でクレートやキャリーバッグに入れて置くことが多くなると熱がこもりやすくなります。
頻繁に犬を観察して様子を見てください。
こまめに水を飲ませて予防します。
水分を摂るとトイレの頻度も多くなります、その面でも注意してください。
また、涼しい日だからと安心してはいけません、日常と違う環境で緊張から、呼吸が増え神経過敏になり体温が上がってしまうことがあるからです。
体温が異常に高く、よだれを流しているようなときには熱中症の可能性があります。
太い血管の通る場所（内股・お腹・首）などの場所を冷やしてください。
水を掛ける、保冷剤をタオルにくるみ当てる、ペットシーツに水を含ませて体に巻き付けるなど工夫して、体を冷やすようにします。
しかし、自力で体温調整ができない状態で冷やし過ぎには注意します。
こんどは低体温症になってしまします。
氷などは使わない方がよいと思います。
便利な防災グッズ
愛犬を守れるのは、飼い主だけです。
とくに災害時には、その責任の重さが一層増します。
犬にはさまざまな種類があり、大きさや被毛の長さ、鼻の形、さらには暑さに強い犬種、寒さに強い犬種など、個体によって特性は大きく異なります。当然ながら、防災対策も「すべての犬に共通」で済むわけではありません。
だからこそ、飼い主は愛犬の体格や体質に合わせた防災グッズを備えておく必要があります。
さらに、災害は季節を問わず起こるため、夏と冬では必要な準備も変わることを意識しなければなりません。
被災生活を想定する際は、たとえば猛暑の避難所での暑さ対策、寒冷地での防寒対策、断水時の飲料水確保、愛犬がケガをした場合の応急処置など、あらゆるシチュエーションを想像して備えておくことが重要です。
愛犬の命と健康を守れるのは、他でもない「あなた」だけです。
もしもの時に慌てないためにも、今からしっかり準備を整えておきましょう。
あると便利な犬用の防災グッズセット
● 療法食・薬
● お気に入りの玩具
● 食器
● ペットフード・おやつ・水
● カッター・ハサミ・ガムテープ
● グルーミング用品 （ブラシ・ドライシャンプー・ウエットティッシュなど）
● 犬鑑札・迷子札
● 首輪・リード
● タオル・バスタオル
● キャリーバッグ・ケージ
● ビニール袋・トイレ用品・メス犬用に生理用品・ペットシーツ
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災害に強い家にすることも必要性が高まる
１部屋だけでも「シェルター化」して、愛犬と家族を守る備えを
近年、日本では地震による被害が年々深刻化しています。
そのため、家の耐震化はもはや欠かせない備えとなりました。
特に就寝中に地震が発生した場合に備えて、寝室だけでもシェルター化しておくことを強くおすすめします。
家具をしっかり固定し、就寝中でもすぐに避難できるよう、ドアは開けた状態を基本に。
愛犬と一緒に安全なスペースへすぐに逃げ込める環境を整えておきましょう。
地震発生時には、窓ガラスや家具のガラス扉、蛍光灯などの照明器具が割れて飛散するリスクもあります。
これを防ぐために、耐震仕様の照明への変更やガラス飛散防止フィルムの貼付など、具体的な対策も必要です。
さらに、ライフラインが途絶えたときに備える物資の備蓄も忘れてはいけません。
私が住んでいる地域でも、東日本大震災の際、電気が復旧するまでに丸2日間かかりました。
都市部ではさらに復旧が遅れる可能性もあるでしょう。
【最低限備えておきたいもの】
- 食料（最低3日分以上）
- 飲料水
- 衛生用品（簡易トイレ、ウェットティッシュなど）
- 愛犬用のフード・水・トイレシート
- 常備薬や応急セット
災害はいつ、どこで起こるかわかりません。
だからこそ、「今できる備え」を進めることで、あなた自身も愛犬も守ることができるのです。
いつ、どこに避難するか！災害発生時の行動を考えよう
ペットと一緒の避難、どうする？無理をせず最適な選択を
災害時、ペットを連れて避難所に向かうことに気が引ける。
そんなふうに感じるのは、飼い主としてごく自然な感情です。
「他の避難者に迷惑をかけてしまうかも」「落ち着いて休めないかもしれない」と心配になるのは当然のこと。現実に、避難所では動物に不慣れな方やアレルギーを持つ方もいるため、気を遣わざるを得ない状況も少なくありません。
その結果、避難所を避けて車中泊を選び、エコノミークラス症候群を発症するケースも報告されています。これは命に関わるリスクを伴うため、十分な注意が必要です。
もし自宅や慣れ親しんだ場所で安全を確保できるのであれば、無理に避難所に向かうより、そこで過ごすほうが合理的であり、愛犬や愛猫にとってもストレスが少なく済みます。
大切なのは、「無理をしないこと」。
ペットも家族です。災害時こそ、安全と健康を最優先に、落ち着いた環境で守ってあげましょう。
避難のタイミングは決めておくといいでしょう。
現在、警戒レベルは５段階に設定されており、警戒レベル４の「避難指示」までに全員が避難することになっています。
しかし、ペットや高齢者、乳幼児がいたりすると、避難は遅れがちで、とくに豪雨の場合は、「もう少し大丈夫！まだ大丈夫だろう！」と甘くみてしまうことが多いようです。
家族で避難のタイミングを決めておくといいでしょう。
| 軽快レベル | 避難情報等 |
| ５ | 緊急安全確保 |
| 《警戒レベル４までに必ず避難》 | |
| ４ | 避難指示 |
| ３ | 高齢者等避難 |
| ２ | 大雨・洪水・高潮注意報 （気象庁） |
| １ | 早期注意報 （気象庁） |
まとめ
近年、異常気象による豪雨や頻発する地震、そしてその規模の大きさに、多くの方が不安を感じているのではないでしょうか。
もはや「災害は特別な出来事」ではなく、「明日は我が身」と捉え、真剣に備えることが必要な時代です。
まず、家族を守る立場にある大人自身が、安全に避難できる準備を整えていなければ、愛犬はもちろん、高齢者や乳幼児を無事に避難させることはできません。
「自分と家族が、どうすれば安全に避難できるのか？」を一人ひとりが具体的に考え、それぞれの家庭事情に合わせた防災対策を計画しておきましょう。
さらに、愛犬家同士のネットワーク作りも大切なポイントです。
いざというとき、犬を一時的に預かってもらえるのか、何匹までなら可能か事前に信頼できる仲間と話し合っておけば、万一の際にも心強い支えとなります。
今やスマートフォンは情報収集や連絡手段として不可欠な存在ですが、災害時に充電できなければ役に立ちません。
モバイルバッテリーや非常用充電器など、見落としがちなアイテムも定期的に点検し、備えておくことが肝心です。
災害はいつ、どこで起こるかわかりません。
「備えあれば憂いなし」。
今この瞬間から、できる準備を一つずつ積み重ね、愛犬と家族の命を守る力を身につけましょう。
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